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文献詳細

雑誌文献

胃と腸31巻5号

1996年04月発行

文献概要

症例

びまん浸潤型大腸癌との鑑別が困難であった潰瘍性大腸炎の1例

著者: 村上茂樹1 石賀信史1 庄達夫1 石原清宏1 酒井邦彦1 藤井康宏1 山本泰久1

所属機関: 1おおもと病院

ページ範囲:P.673 - P.676

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要旨 患者は61歳,女性.腹満感,嘔吐を主訴とし,結腸の精査目的に来院した.大腸内視鏡・注腸造影検査で下行結腸の閉塞性大腸癌と診断し,緊急手術を行った.横行結腸左半部の約11cmに及ぶ腸管壁全周の肥厚と硬化,漿膜面の顆粒状変化を認め,びまん浸潤型大腸癌と診断し,拡大右半結腸切除術を行った.しかし病理組織学的検索で癌細胞は認められず,粘膜下層の萎縮,粘膜下から筋層,更に漿膜下に及ぶ強い炎症性変化,著明な筋層の肥厚を認め,慢性持続型潰瘍性大腸炎と診断された.癌を伴わない潰瘍性大腸炎閉塞症例は極めてまれであり,本例は術後の再燃もなく順調に経過している.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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