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文献詳細

雑誌文献

胃と腸31巻6号

1996年05月発行

今月の主題 食道dysplasia―経過観察例の検討

主題

追跡例からみた食道異形成(dysplasia)―第33回食道色素研究会「食道dysplasia(異形成)を考える」のまとめを中心に

著者: 石黒信吾1 春日井務1 星田義彦1 三輪秀明1 小野寺誠1

所属機関: 1大阪府立成人病センター病理検査科

ページ範囲:P.695 - P.704

文献概要

要旨 食道異形成(dysplasia)の実体を知るために,経過追跡した食道異形成の症例を用いて検討した.生検診断では,提示施設の組織診断と消化器専門病理医あるいは専門病理医間での診断の乖離が大であった.また癌抑制遺伝子産物p53あるいは増殖能の指標となるKi-67の染色は癌診断に有用であり,境界領域病変の診断には参考になると思われた.今回の検討では,25例の経過追跡例中1例のみが種々の面から経過中に異形成から癌に変化した可能性があるとされ,本来の意味での前癌病変としての食道異形成と言える可能性のある病変はごく限られた症例であると思われた.一方,p53,Ki-67の免疫染色の結果からは,組織学的に非腫瘍性と思われる病変でも軽度ながら異常がみられ,遺伝子の面では組織学的に癌と診断できない病変でも遺伝子の異常が起こっている可能性があり,その意味での異形成の存在の可能性が示唆された.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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