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文献詳細

雑誌文献

胃と腸31巻8号

1996年07月発行

文献概要

今月の主題 Helicobacter Pyloriと胃リンパ腫 序説

Helicobacter Pyloriと胃リンパ腫

著者: 渡辺英伸1

所属機関: 1新潟大学医学部第1病理

ページ範囲:P.943 - P.944

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 Helicobacter Pylori(H. Pylori)が慢性活動性胃炎の原因であることは,今日,広く認められている.この菌が慢性活動性胃炎を介して,萎縮性胃炎,胃潰瘍,胃癌,更に胃MALTリンパ腫(mucosa-associated lymphoid tissue lymphoma,またはmarginal zone B-cell lymphoma of MALT typeとも呼ばれている)の発生にも関与すると言われている.

 MALTリンパ腫は,胃粘膜内リンパ濾胞(ときに,粘膜筋板直下の粘膜下層にもある)のmarginal zoneにあるBリンパ球を母細胞として発生する,B細胞性リンパ腫である.胃内のリンパ濾胞は正常胃にはみられないが,H. Pylori感染によって誘発されることが明確になってきた.すなわち,H. Pyloriの毒素やその菌体産生物が胃粘膜内のT細胞やマクロファージを刺激して,種々のサイトカイン(interleukin-2;IL-2と略,IL1,IL-6など)を産生させ,結果的にB細胞を増加させ,リンパ濾胞が形成されることになる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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