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文献詳細

雑誌文献

胃と腸31巻8号

1996年07月発行

文献概要

今月の主題 Helicobacter Pyloriと胃リンパ腫 主題

Helicobacter Pylori感染によるリンパ組織増殖の炎症免疫学的機序

著者: 名倉宏1 矢吹法孝12 内藤吉隆13 笹野公伸1

所属機関: 1東北大学医学部第2病理 2東北大学医学部第3内科 3北里大学医学部内科

ページ範囲:P.957 - P.964

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要旨 胃粘膜は,健常状態ではリンパ濾胞はほとんど認められず,固有層や上皮細胞間の炎症免疫担当細胞群も非常に少ない.それゆえ,胃固有のリンパ組織(SALT)の構成や機能は他の粘膜系のGALTやBALTとは,様々な点で相違している.しかしHelicobacter Pylori感染により胃粘膜では極めて強い炎症反応や,液性および細胞性免疫反応が誘導されるが,それにもかかわらず感染は持続慢性化し,粘膜の障害や萎縮,炎症免疫担当細胞の動員,リンパ組織の過形成が惹起される.こうした現象は,SALTをはじめとした胃に特異な免疫学的構築と反応機構に由来していると思われる.そしてその感染と炎症の持続は,悪性リンパ腫や癌腫の発生母地となることが示唆されている.本稿では,Helicobacter Pyloriに対するSALTを構成する炎症免疫担当細胞の反応動態について解説し,MALTリンパ腫の病因・病態との関連を考察した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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