今月の主題 Helicobacter Pyloriと胃リンパ腫
主題
Helicobacter Pylori除菌療法後の胃MALTリンパ腫と濾胞性胃炎の形態変化―内視鏡像を中心に
著者:
成澤林太郎1
山口孝太郎2
植木淳一3
山崎国男3
本山展隆13
関谷政雄4
佐藤祐一1
望月剛1
本間照1
朝倉均1
川村正5
渡辺英伸6
所属機関:
1新潟大学医学部第3内科
2山口医院
3新潟県立中央病院内科
4新潟県立中央病院病理
5亀田第一病院内科
6新潟大学医学部第1病理
ページ範囲:P.965 - P.972
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要旨 近年,Helicobacter Pyloriとリンパ腫をはじめとした胃リンパ増殖性疾患との関連が注目されてきている.今回,Helicobacter Pylori陽性のMALTリンパ腫4例および濾胞性胃炎3例に除菌療法を施行し,その後の形態変化を内視鏡所見を中心に検討した.MALTリンパ腫で除菌に成功したものは3例であったが,除菌療法を試みた4例すべてに内視鏡的な改善が認められた.除菌が不成功であった1例もHelicobacter pyloriの菌体量の減少が認められ,腫瘍組織は消失した.しかし,除菌に成功し内視鏡的にも改善を認めているが,腫瘍細胞の完全消失には至っていない症例が1例存在した.また,濾胞性胃炎の3例すべてに除菌が確認され,組織学的には3例とも炎症細胞浸潤は改善していたが,内視鏡的には1例にわずかな所見の改善を認めたのみで,ほかの2例は不変であった.