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文献詳細

雑誌文献

胃と腸31巻8号

1996年07月発行

文献概要

今月の主題 Helicobacter Pyloriと胃リンパ腫 主題症例

MALTリンパ腫類似病変から急速に進展がみられた胃悪性リンパ腫の1例

著者: 竹村聡12 八尾建史1 八尾恒良1 岩下明徳2 松井敏幸1 竹中国昭1 櫻井俊弘1 有馬純孝3 大島孝一4 古川敬一12

所属機関: 1福岡大学筑紫病院消化器科 2福岡大学筑紫病院病理 3福岡大学筑紫病院外科 4福岡大学医学部第1病理

ページ範囲:P.987 - P.994

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要旨 64歳,男性.1988年8月,夜間の悪心を主訴に当院を受診し,胃内視鏡検査の結果,胃角部小彎の胃潰瘍瘢痕が認められた.以後,当院外来で経過観察中であった.1994年7月,胃内視鏡検査で,体下部~胃角前壁に多発する浅いびらんが新たに観察されたが,生検では明らかな悪性の所見は得られなかった.同年11月の胃内視鏡検査で胃角部小彎の胃潰瘍瘢痕,体下部~胃角前壁のびらんに加えて,前庭部の浅い陥凹性病変が認められた.びらんおよび陥凹性病変からの生検では異型リンパ球の浸潤が認められ,胃内視鏡所見と合わせて当初,低悪性度の胃MALTリンパ腫が疑われた.1994年12月に胃内のHelicobacter Pyloriの存在が確認され,除菌を施行したが,体下部~胃角前壁の病変が急速に増大したため,1995年3月,胃部分切除を施行した.切除胃では,体下部~胃角前壁に4.0×4.0cm大の決潰型腫瘤を認め,組織学的には悪性リンパ腫(non-Hodgkinリンパ腫,B-cell,びまん性,大細胞型)と診断した.なお,経過観察中に認められた前庭部の浅い陥凹性病変は消失していた.生検,X線,内視鏡を見直し,検討をしたところ,表層型の悪性リンパ腫が急速に増大し,典型的な決潰型悪性リンパ腫へ発育進展したものと思われた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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