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文献詳細

雑誌文献

胃と腸31巻8号

1996年07月発行

今月の主題 Helicobacter Pyloriと胃リンパ腫

主題症例

Helicobacter Pyloriが持続的に陽性にもかかわらず胃MALTリンパ腫が消失し早期胃癌が発生した1例

著者: 古川敬一12 八尾恒良1 松井敏幸1 岩下明徳2 有田正秀1 本村明1

所属機関: 1福岡大学筑紫病院消化器科 2福岡大学筑紫病院病理

ページ範囲:P.995 - P.1002

文献概要

要旨 患者は69歳,女性.1986年の内視鏡検査で胃前庭部大彎に粘膜集中を伴う不整形の多発びらん,潰瘍性病変を指摘された.生検標本の見直しで,粘膜内に比較的高度のリンパ球浸潤およびlymphoepithelial lesionを認めた.一部のlymphoepithelial lesionは免疫染色でB-cell markerのみ陽性であった.そのため,遡及的に低悪性度胃MALTリンパ腫と診断した.しかし,リンパ球は異型性が低く明らかなcentrocyte-like cellとは断定できず,非腫瘍性RLHも否定できなかった。また,このときの生検標本にHelicobacter Pyllori(HP)の菌体を認めた.この症例はHP持続感染にもかかわらず,6年後,病変が消失した.更にⅡa型早期胃癌の発生をみている.低悪性度胃MALTリンパ腫とRLHとの鑑別およびHPとのかかわりを考えるうえで貴重な症例と考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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