文献詳細
--------------------
書評「Helicobacter pyloriと胃炎・胃癌」 フリーアクセス
著者: 竹本忠良12
所属機関: 1東京女子医科大学 2成人医学センター
ページ範囲:P.1010 - P.1010
文献概要
かつてみずから書いたように“読んでは書き,書いては考え,考えてはまた読む”という執筆ぶりを通した人だ.
このH. Pyloriの本も,唐木のいった“鉱脈発掘作業”にも似て,H. Pylori研究の最終目標に向かっていかに独自の道を歩むか,H. Pyloriと胃炎・胃癌との関連を明白に証明するために今後どのような追求が必要なのか示したものである.彼らの,永く日本の胃炎・早期胃癌の内視鏡研究を勉強してきたという重い使命感が,このH. Porlori研究の最大鉱脈への挑戦ルートを模索させ,見事なこの本を編ませたものと受け止めている.みずから外国のH. Porlori研究者が持っていない視点に立っていて,日本の今後のH. Pylori研究のありかたを明確に示していると重ねて書いておこう.力作である終章の“H. Porloriと胃炎・胃癌―将来の展望”は,欧米追従に終始した業績の多いわが国の研究への正に警世の文でもあろう.
掲載誌情報