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文献詳細

雑誌文献

胃と腸31巻8号

1996年07月発行

文献概要

今月の主題 Helicobacter Pyloriと胃リンパ腫 主題症例

Helicobacter Pyloriの除菌療法により改善が認められた胃MALTリンパ腫の1例

著者: 山口孝太郎1 渡辺英伸2

所属機関: 1山口医院 2新潟大学医学部第1病理

ページ範囲:P.1019 - P.1025

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要旨 55歳の女性.空腹時上腹部痛を主訴として来院した.幽門前庭部に多発の潰瘍とびらん,壁伸展不良を認めたが初年度には確診がつかず来院が中断した.1年後に再び上腹部痛を訴えて来院し,潰瘍の増悪と新たな粘膜下腫瘍隆起を認め,生検でmucosa associated lymphoid tissue(MALT)リンパ腫と診断され,分子生物学的にもmonoclonalityが確認された.Helicobacter pylori(HP)が陽性であり,lansoprazole 30mg,clarithromycin 400mg,plaunotol 240mgの8週間投与を行い,潰瘍は治癒し生検でリンパ腫陰性となった.粘膜下腫瘍隆起の消失は3か月後に認めた.HPは免疫染色で依然として少数認めたが,18か月間の経過観察でリンパ腫の再発は認めていない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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