症例
十二指腸球部にⅡa型早期癌を,胃角部にカルチノイドを合併したintraluminal duodenal diverticulumの1例
著者:
小堀迪夫1
徳永常登1
村上篤信1
中村早苗1
渡辺信介1
岡田紀子1
原岡昭一1
黒河達雄2
渡辺哲也2
羽場礼次3
小堀陽一郎4
原中5
所属機関:
1瀬戸内海病院
2今治済生会病院外科
3今治済生会病院病理
4川崎医科大学内科
5原内科
ページ範囲:P.1035 - P.1041
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要旨 慢性腎不全の53歳の女性.X線検査で十二指腸の拡張を指摘され来院した.X線検査および内視鏡検査で,十二指腸球部から球後部にかけて高度の拡張と食物残渣の貯溜があり,拡張した球部に表面に凹凸のある平盤状の隆起を認めた.球後部は管腔内閉塞症の状態を呈し,スコープを辛うじて通過させうるぐらいの小孔を有するintraluminal duodenaldiverticulum(IDD)が認められた.このIDDは口側の内圧を上げると肛門側に押し下げられ,内圧を下げると口側に膨隆した所見を示した。胃角部後壁にはむらのある発赤を有する小隆起を認めた.IDDと十二指腸球部Ⅱa型早期癌の合併例と診断し,手術で確認しえた.胃の隆起はカルチノイドであった.3病変の合併は文献上見当たらず,大変珍しく,また病因についても興味のある症例である.