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文献詳細

雑誌文献

胃と腸31巻8号

1996年07月発行

文献概要

症例

虫垂杯細胞カルチノイドの1例

著者: 関岡敏夫1 仲井理1 遠藤清1 小野正人1 金児潔1 藤江純二1 島袋盛一1 橋本泰1 増田道彦1 沖永聡2 保田光代2 牧原浩2 竹田彬一2 柿原直樹3 今津正史4

所属機関: 1宇治徳洲会病院外科 2宇治徳洲会病院内科 3田辺中央病院外科 4富山市民病院外科

ページ範囲:P.1047 - P.1052

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要旨 患者は51歳,男性.主訴は右下腹部痛と発熱.触診で右下腹部に圧痛のある手拳大の腫瘤を触知した.注腸X線検査では盲腸外側からの壁外性圧排を認めた.大腸内視鏡検査では,盲腸外側に壁外性圧排による隆起と虫垂開口部のはち巻きひだを伴う粘膜下腫瘍様隆起を認めた.CT検査では盲腸の外側に低吸収域を含む腫瘍を認め,この腫瘍は腸腰筋に浸潤していた.T2強調のMR検査でも同部に低信号域が認められ,膿瘍より腫瘍が疑われた.回盲部切除術を施行した.病理組織学的検索では虫垂の粘膜下層以深に2種類の腫瘍細胞がみられ,虫垂漿膜下から隣接する盲腸壁に浸潤していた.第1の細胞は杯細胞に類似し,第2の細胞は通常のカルチノイドの細胞に類似していた.虫垂杯細胞カルチノイドで,術前に本症例のような各種画像検査を行った症例は極めてまれである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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