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文献詳細

雑誌文献

胃と腸31巻9号

1996年08月発行

今月の主題 早期胃癌の内視鏡的粘膜切除―適応拡大をめぐる問題点

主題

早期胃癌の内視鏡的粘膜切除の適応拡大をめぐる現状の問題点―日常検査における早期胃癌EMR標本の有効な切り出し法

著者: 中野和夫1 柳澤昭夫1 久保起与子1 山本智理子1 加藤洋1 竹腰隆男2

所属機関: 1癌研究会癌研究所病理 2癌研究会癌研究所附属病院内科

ページ範囲:P.1067 - P.1072

文献概要

要旨 われわれは過去5年以上,胃の内視鏡的摘除(以後EMR)標本の病理検査にあたっては,標本の長軸に垂直に連続的に2mm間隔で切り出している(基準切り出し).ここで間隔を2mmとしたのは,これ以下の間隔では実際上標本が薄くなりすぎて扱いが難しくなるからである.この方法は,癌の断端浸潤および粘膜下浸潤について極めて正確な情報を提供するが,若干煩雑である.同じ効果をもたらすより簡便な切り出し法を求めて,上の切り出し法(基準切り出し)とは異なる8種の切り出し法を想定し(Fig. 1①~⑧),後者において得られる診断が前者のそれとどれぐらい食い違う(誤答する)かを,80例の早期胃癌EMR症例(m癌64例,sm癌16例)を用いて検討した.その結果,長軸に垂直に連続的に切れば3mm幅(Fig. 1②)でも,基準切り出しとほぼ同様の効果が得られることがわかった.その他の方法では誤答の危険が高く,実用には供しないことがわかった.なお,上の傾向は肉眼型にかかわらずみられたが,解析対象のほとんどが分化型癌であり,今後,未分化型癌についての検討を追加する必要がある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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