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文献詳細

雑誌文献

胃と腸31巻9号

1996年08月発行

今月の主題 早期胃癌の内視鏡的粘膜切除―適応拡大をめぐる問題点

主題

早期胃癌の内視鏡的粘膜切除―一括切除の限界と分割切除の問題点

著者: 浜田勉1 近藤健司1 板垣雪絵1 西田潤子1 北村成大2

所属機関: 1社会保険中央総合病院消化器科 2社会保険中央総合病院病理

ページ範囲:P.1073 - P.1082

文献概要

要旨 内視鏡的粘膜切除(EMR)における切除標本の大きさを分析し,一括切除の成績と,適応拡大するうえで必要となる分割切除の成績とを対比させながら遺残再発を中心に述べ,それぞれの切除法の問題点について検討した.EMRの3原則に従い,EMRを施行したのは171例(一括切除:129例150病変,分割切除:42例43病変)であった.一括切除では遺残再発は12.0%に認められた.遺残再発は,癌の大きさとの関係は認められなかったが,切除断端の所見と関係があった.また,切除標本の大きさはA領域の20mmに比べ,C,M領域で15mmと小さい傾向がみられ,切除の限界があった.一方,分割切除では癌の大きさに比例して遺残再発率は高かった.また,1つの切除標本のみに癌をみた例では再発はなく,2つの切除標本に癌が認められれば13.3%に,3つ以上の切除標本に癌が認められれば25.0%に遺残再発を認め,癌の大きさに伴い多分割することと深い関係があった.分割切除では,一括切除に比較して約2倍の切除標本が得られ,部位による標本の大きさの差はなかったが,病変の再構築は不可能であった.1回目のEMRで引き起こされる胃側の変化は分割切除標本の断端に約3mmの幅で虚血性組織変化としてburnning effectが認められた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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