icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸31巻9号

1996年08月発行

文献概要

今月の主題 早期胃癌の内視鏡的粘膜切除―適応拡大をめぐる問題点 主題

早期胃癌粘膜切除の適応拡大の限界―病理の立場から

著者: 藤崎順子1 池上雅博2 新井弥生2 太田優子2 日野昌力2 荒川広志2 奥脇秀一朗2 大政良二2 増田勝紀2 鈴木博昭1

所属機関: 1東京慈恵会医科大学内視鏡科 2東京慈恵会医科大学病理

ページ範囲:P.1091 - P.1100

文献購入ページに移動
要旨 早期胃癌の内視鏡的胃粘膜切除の適応限界をsm癌について検討した.外科的に切除されたsm癌551病変中sm1a(粘膜筋板下より200μmまで),sm1b(粘膜筋板下から粘膜下層を3等分した上1/3)までにとどまる236病変を中心にリンパ節転移,脈管侵襲の有無を検討した.その結果,30mm以下のsm1a,高分化型腺癌で,Ⅰ型を除いた隆起型,陥凹型Ul(-)では内視鏡治療のみで根治が可能である.更に水平方向浸潤も考慮すればsm1bの一部のもので根治できる可能性がある.すなわち,高分化型腺癌,Ⅱa型で垂直方向浸潤が500μm,水平方向浸潤が1,500μm,陥凹型Ul(-)高分化型腺癌で垂直方向浸潤500μm,水平方向浸潤1,500μmであればリンパ節転移がなく内視鏡治療のみで根治できる可能性が示唆された.すなわち,垂直方向浸潤500μmまでをsm1と定義し,内視鏡治療適応拡大の限界とできる可能性がある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?