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今月の主題 早期胃癌の内視鏡的粘膜切除―適応拡大をめぐる問題点 主題症例
表層拡大型早期胃癌症例に内視鏡的粘膜切除を行った1例
著者: 六倉俊哉1
所属機関: 1茅ヶ崎徳洲会総合病院消化器科
ページ範囲:P.1133 - P.1137
文献購入ページに移動要旨 患者は77歳,女性.慢性気管支炎で外来通院中であったが,胃体上部後壁に3cm大のⅡa集簇型の早期胃癌が発見されたため,内視鏡による分割切除と高周波凝固焼灼による治療を行った.この8か月後,1cm大のⅡa型の局所再発を認めたが再度の内視鏡的粘膜切除(EMR)が可能であった.更に9か月後に,それまで認識されていなかった広範に表層拡大を示すⅡa集簇型の病変が胃体中部後壁から胃角にかけて認められた.そこで,分割切除の手技を用いて内視鏡的に認識しうる病変を可能な限り切除し,更に遺残病変に対しては高周波凝固による焼灼術を徹底的に行うことにより,病変の完全消失が得られた.表層拡大型病変は本来は手術適応であるが,本症例は手術リスクが大きいため内視鏡的治療を選択し奏効した.
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