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文献詳細

雑誌文献

胃と腸31巻9号

1996年08月発行

文献概要

今月の主題 早期胃癌の内視鏡的粘膜切除―適応拡大をめぐる問題点 主題症例

内視鏡的粘膜切除後の外科手術標本で粘膜固有層に広範な浸潤が判明した胃低分化腺癌の1例

著者: 蘆田潔1 江頭由太郎1 田中雅也1 梅垣英次1 滝内比呂也1 岡成樹1 岡島邦雄2

所属機関: 1大阪医科大学第2内科 2大阪医科大学一般・消化器外科

ページ範囲:P.1139 - P.1143

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要旨 患者は50歳の女性で,胃前庭部前壁に3mmのⅡcが発見された.生検診断は中分化型腺癌(tub2)であった.根治目的でEMRが行われ,完全切除が得られたと考えられた.しかし,EMRの組織診断ではⅡcに連続して低分化腺癌(por)の粘膜内浸潤がみられ断端陽性であった.幽門側胃切除が行われた.切除胃の組織学的所見では,EMR潰瘍の前壁側に27×25mmのⅡb(por)の残存が認められた.低分化腺癌は術前に病変の範囲を正確に診断することが困難であることが少なくなく,根治目的としたEMRの絶対的適応にはすべきでないと考えられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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