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文献詳細

雑誌文献

胃と腸31巻9号

1996年08月発行

文献概要

研究

粘膜下注入による大腸sm癌の深達度診断―特に“形状保持隆起”と“癌一筋層距離”について

著者: 宇野良治1 棟方昭博1 佐々木賀広1 小田桐彩子1 坂本十一1 斉藤弘美1 森田隆幸2 中島均3

所属機関: 1弘前大学医学部第1内科 2弘前大学医学部第2外科 3黒石市立病院内科

ページ範囲:P.1165 - P.1173

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要旨 粘膜下注入で挙上を示したsm癌をVTR再生を元に選出し,それらの形態変化と癌・fibrosisの範囲,程度について組織学的に検討した.5例中3例(Ⅱc,Ⅱc+Ⅱa,Ⅱa+Ⅱc)が注入前の病変形態を保ちながら隆起した(形状保持隆起).これら3例では,病変全体にdesmoplastic reactionが生じており,病変の伸展性欠如を反映していた.1例(Ⅱa)は伸展性が悪い部位のみにdesmoplastic reactionが生じており,伸展した部位は粘膜内病変でfibrosisはみられなかった.病変全体が伸展した1例(Is)はfibrosisに乏しく粘膜筋板が保たれていた.更に癌と筋層との距離を表す癌一筋層距離,癌一断端距離を測定したところ,これらは隆起の悪い病変,部分でその距離が短かった.以上から,sm癌でnon-lifting signのみられない場合でも,その浸潤程度を粘膜下注入所見から推察することが可能であると示唆された.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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