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文献詳細

雑誌文献

胃と腸32巻1号

1997年01月発行

今月の主題 胃sm癌の細分類―治療法選択の指標として

主題

胃癌sm浸潤の判定と深達度sm1の考え方

著者: 柳澤昭夫1 宇都出公也1 加藤洋1

所属機関: 1癌研究会癌研究所病理部

ページ範囲:P.15 - P.19

文献概要

要旨 sm癌は,癌の浸潤が粘膜筋板を越えていることが必須条件となるが,粘膜筋板の確認が難しい場合はsm浸潤の判断はしばしば困難となる.その際,癌巣内あるいは癌隣接部位における直径100μm以上の小動脈の存在は,sm浸潤を強く示唆する有用な所見である.粘膜筋板が途切れているリンパ濾胞内への浸潤は,周囲の筋板との位置関係によって決定する.癌細胞を含まない粘液結節も癌の一部とみなし,その位置により決定する.判断困難な場合は,積極的に深切りを行って検証する必要がある.また,今日では,深達度smはsm1~3と3分される傾向にあるが,sm1の定義は,内視鏡的粘膜切除術(EMR)で根治できる深達度,すなわちリンパ節転移の危険のほとんどない深達度とすべきである.分化型癌については,粘膜筋板の下端から300μmまで,とするのが適当と考える.未分化型癌については,現時点では,このような設定を行うのは困難であり,sm浸潤例はすべてリンパ節郭清を含めた手術を行うべきであろう.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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