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今月の主題 胃sm癌の細分類―治療法選択の指標として 主題
胃sm癌の浸潤・転移・再発と生物学的特徴
著者: 掛地吉弘1 杉町圭蔵1
所属機関: 1九州大学医学部第2外科
ページ範囲:P.57 - P.61
文献購入ページに移動要旨 胃sm癌の浸潤・転移・再発について,従来の病理学的特徴に加えて腫瘍の生物学的特徴に着目し,検討した。まず増殖活性でみると,脈管侵襲もリンパ節転移もない群よりも,脈管侵襲陽性群やリンパ節転移陽性群でAgNOR数が有意に高くなっていた.発育進展形式で細分類すると,表層拡大型のSuper型に比べて深部浸潤傾向の強いPen-A型ではp53異常蛋白の陽性率が高く,腫瘍内血管密度も高かった.胃sm癌の浸潤・転移・再発のrisk factorとして,高い増殖活性,p53異常蛋白陽性,腫瘍内血管密度の高値が挙げられ,特にp53異常蛋白は予後因子の1つと考えられた,術前の生検などでhigh riskとされる症例には,手術で十分な範囲の切除・郭清が必要で術後の補助化学療法も検討すべきである.術後の経過観察も5年以上が望ましい.
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