文献詳細
今月の主題 Is型大腸sm癌を考える
主題
Is型大腸癌とは―私はこう考える―早期大腸癌の中でIs型が何故に問題となるのか?
著者: 中村恭一1
所属機関: 1東京医科歯科大学医学部
ページ範囲:P.1417 - P.1420
文献概要
1.形の分類の原則
形を分類しようとする場合,その原則となることは相似則である.現在用いられている大腸癌の肉眼型分類はというと,まずはじめに癌の深達度smをもって早期癌0型と進行癌1~4型とに分類している.このようなことがあるために,同じ類に属する形ではあっても癌深達度が異なることによって別の呼び名が付けられている.例えば,隆起性の癌で1型とIs型とⅡa型,そして辺縁隆起を伴う陥凹性の癌で2型とⅡc+Ⅱa型は相似である.形の分類の原則に従うならば,1型とIs型とⅡa型,そして2型とⅡc+Ⅱa型は同じ形の類に属するものとしなければならない.すなわち,形の分類は癌の深達度とは無関係に相似をもってなさなければならない(Fig. 1).
2.IsとⅡaの形態認識は
無茎性隆起に対して,規約では正常粘膜の厚さの2倍以下の隆起をⅡa,そしてそれ以上の高まりをIsと定義している.病変が小さな場合には,おおよそにおいてIsとⅡaとを区別することができる.しかし,大きな隆起性病変の場合,一般的にその高さは正常粘膜の2倍以上あり,定義に従うならばIsとしなければならないのであるが,大型のⅡaとしている場合が多い.すなわち,病変の高さに対して相対的に病変が大きいので全体的に見た形は小さなⅡaと相似であると認識しているのである.ここにおいては,形の分類の中でIsに限って高さという量をもって定義していることに問題があるのである,形の分類であるからには高さという量をもって定義してはならず,大きさとは無関係に相似をもって定義しなければならないのである.
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