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今月の主題 Is型大腸sm癌を考える 主題
Is型大腸癌とは―私はこう考える―Is型大腸癌の病理学的問題点
著者: 下田忠和1 白須達也2
所属機関: 1国立がんセンター中央病院臨床検査部病理 2国立がんセンター中央病院内視鏡部
ページ範囲:P.1421 - P.1422
文献購入ページに移動肉眼診断の基本は最も特徴的な形態像をもって行うことであるが,しかしその中で深達度診断をも考慮することが大事である.当院でIs型とされた病変はsm大腸早期癌の273例中76例(27.8%)にみられた.これらを癌の粘膜内増殖を主体として隆起成分を形成したpolypoid growth type(PG)と癌の粘膜内増殖とは別な要因で隆起成分を形成したnon-polypoid growth type(NPG)2)に分けると,PGが47病変(61.8%),NPGが29病変(38.2%)であった.このPG,NPG分類は先にも述べたように,組織学的に粘膜内病変の腫瘍増殖態度によってなされたものではあるが,各々肉眼的に特徴像がある.PG型腫瘍は癌の粘膜下層への浸潤の有無にかかわらず,隆起の立ち上がりにくびれを有し,その表面構造は分葉状あるいはそれが一部で融合を示すのが最も大きな特徴である(Table1).それは腫瘍が粘膜内で不規則に隆起性増殖するためで(Fig. 1a, b),癌の異形度が高くなるに従って,その分葉の融合傾向がみられる.分葉構造の消失傾向はsm2,sm3でより多くみられる(Table2).これに対し,NPG-sm癌では隆起の辺縁は正常粘膜で覆われ,なだらかな隆起を形成し,かつ表面構造は失われ,平滑あるいは無構造で,分葉構造は全くみられない(Table1).またsm浸潤度が高くなるにつれ,粘膜破壊を来し,sm癌部分が表面に露出し,潰瘍・びらんの形成または不整な結節性変化の出現がみられる(Fig. 2a, b).すなわち同じIsでもNPG‐typeではその隆起は癌の粘膜下層に浸潤した結果であり,PG-typeのIsとは基本的に異なっている.sm浸潤癌はリンパ節転移が約12%に認められているが3),なかでもNPG-typeでは癌の浸潤量が多いsm2,sm3の頻度が高く,また脈管侵襲の頻度も高く4),リンパ節転移の危険性も高い.またNPG-Isは高度のsm浸潤を来しているにもかかわらず,PG-Isよりは小さい病変(平均径13mm)4)であることも特徴である.同じIsとしてくくられている病変は粘膜内病変を主体としたPG-typeとsm浸潤によって隆起を来したNPG-typeに分類することが可能であり,この両者を十分に鑑別して判定することが臨床的にも重要である.すなわちIs(PG-type)とIs(NPG-type)を分類することがIsの深達度診断にも有用である.
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