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文献詳細

雑誌文献

胃と腸32巻11号

1997年10月発行

今月の主題 Is型大腸sm癌を考える

主題

Is型大腸sm癌の成り立ち―無茎性隆起(Is型,Ⅱa型,Ⅱa+Ⅱc型)の大腸sm癌のX線学的特徴

著者: 飯沼元1 牛尾恭輔1 石川勉1 宮川国久1 内山菜智子1 吉江浩一郎1 井手口尚生1 横田敏弘2 白須達也2 落合淳2 下田忠和3

所属機関: 1国立がんセンター中央病院放射線診断部 2国立がんセンター中央病院内視鏡部 3国立がんセンター中央病院臨床検査部

ページ範囲:P.1423 - P.1436

文献概要

要旨 無茎性隆起(Is型,Ⅱa型,Ⅱa+Ⅱc型)の大腸sm癌のX線学的特徴を明らかにするため,X線学的に評価可能であった大腸sm癌214病変を対象に,そのX線像と病理組織所見との比較検討を行った.隆起性の病変は195病変(91.1%)あり,これを山田らの隆起分類に従い,中心陥凹の有無にかかわらず隆起I型から隆起Ⅳ型に分類し,更に隆起の表面性状から分葉状(L型)と結節状(N型)に分類した.またpolypoid growth(PG)type,non-polypoid growth(NPG)typeによる検討も行った.隆起Ⅱ型は105病変(49.1%)と半数近くを占め,そのうちN型の比率は62%と,隆起Ⅲ型の31%,隆起Ⅳ型の24%と比較し高かった.更に隆起Ⅱ型においてL型とN型を比較したところ,L型はsm1が35.0%,sm3は12.5%であったのに対し,N型,凹凸明瞭にはsm1はなく,sm3が56.3%と半数以上を占めた.リンパ管侵襲はそれぞれ17.5%,26.2%,静脈侵襲は12.5%,21.5%,リンパ節転移は6.7%,17.9%とN型のほうが高かった.次に隆起Ⅱ型におけるNPGtypeの比率は55%で,隆起Ⅲ型,隆起Ⅳ型と比較し高い割合で,特に隆起Ⅱ型をL型とN型に分類した場合,N型の72%がNPGtypeであった.X線像が隆起Ⅱ型を示す病変で表面が結節状のものは,sm2以上の浸潤癌であり,脈管侵襲,リンパ節転移の頻度も高いので,治療方針を決定する場合,注意を要すると考えられた.また分葉状と結節状に分類することで,X線像から表面型起源とされるNPGtypeの病変を推定することが可能と考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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