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文献詳細

雑誌文献

胃と腸32巻11号

1997年10月発行

文献概要

今月の主題 Is型大腸sm癌を考える 主題

Is型大腸sm癌の成り立ち―内視鏡の立場から―Is型亜分類の提案

著者: 工藤進英1 小松泰介1 山野泰穂1 今井靖1 井手口尚生2 中嶋孝司2 日下尚志2 大里雅之2 金井俊和2 黒田浩平2 前川修司2 中里勝2

所属機関: 1秋田赤十字病院胃腸センター 2久留米大学医学部放線科

ページ範囲:P.1461 - P.1472

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要旨 大腸Is型sm癌95病変を通常内視鏡所見,色素内視鏡所見,pit pattern所見,病理組織学的所見について検討した結果,Is型sm癌は明確に2群に分類された.すなわち隆起性に発育する腫瘍全体に腺腫病変に特徴的なⅢL・Ⅳ型pitを有し,明らかな陥凹局面を持たない群〔陥凹局面(-)群:61病変,75.3%〕と,病変内に陥凹局面を有し,I型pitと局面を有する陥凹部のV型pitでのみ構成され,ⅢL・Ⅳ型pitを認めない群〔陥凹局面(+)群:20病変,24.7%〕であった.陥凹局面(+)群は平均腫瘍径において陥凹局面(-)群よりも有意に小さく,ほとんどが腫瘍径10mm台の病変であったが,すべてsm1.以深に高度浸潤していた.この病変群はpit patternおよび組織学的特徴から表面陥凹型腫瘍由来と考えられ,早期のうちに粘膜筋板を破った腫瘍組織が粘膜下層を主座として増殖し,結果として病変全体が隆起を呈したものと考えられた.こうした病変は最初から隆起性発育を示す陥凹局面(-)群とは発生・発育進展様式が全く異なり,両者を鑑別することが適切な治療の選択に際して重要であると考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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