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文献詳細

雑誌文献

胃と腸32巻11号

1997年10月発行

文献概要

今月の主題 Is型大腸sm癌を考える 主題

Is型大腸sm癌の成り立ち―腺管構築の病理組織学的解析から

著者: 大倉康男1

所属機関: 1東京都がん検診センター検査科

ページ範囲:P.1479 - P.1488

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要旨 Is型大腸sm癌にはその隆起の成り立ちが組織学的に異なるものが混在していることから,組織学的に癌粘膜内進展部分と粘膜下組織浸潤部分を形態分析した.更に,腫瘍の成り立ちを示すと考えられる粘膜部分を高さで分類し,病理組織学的特徴を解析するとともに,その成り立ちについて考察した.粘膜部と浸潤部の組織学的対比では,ほとんどの症例が浸潤部の異型度が粘膜部より高いものの基本的には同じ形態を示した.更に,粘膜部の高さで分けて検討すると,管状腺管を主体とした表面型大腸癌が浸潤して形成されたと推測される組織学的表面型(F型)Is型sm癌と,絨毛状腺管を主体として粘膜部が隆起した組織学的隆起型(P型)Is型sm癌に大別された.病理組織学的特徴は,(1)F型は小さい病変,深達度の深い病変の割合が多く,P型は大きな病変,深達度の浅い病変の割合が多い,(2)F型は深達度が深くなるにつれて中分化が主体となるものが多いが,P型は全体に高分化の割合が高い.また,粘膜部ではF型は大きくなるにつれて高分化の割合が少なくなるのに対して,P型はすべて高分化が主体である,(3)F型には管状腺管が主体の病変が多いのに対して,P型は絨毛状腺管の割合が多い,(4)浸潤部ではF型は高異型細胞から成るが,P型では低異型細胞が混在する割合が高い,(5)F型に粘膜部分が崩れやすい傾向が強く,P型は粘膜の残存傾向が強い,(6)F型はほとんど腺腫部分がなく,P型は約60%に腺腫部分が認められた,(7)脈管侵襲は深達度との関係が深かったが,脈管侵襲に関係すると考えられる小癌胞巣はF型に約半数と多く出現した,である.組織学的にはIs型sm癌の約60%が表面型大腸癌由来と考えられ,Is型sm癌を含めた大腸癌の発育進展過程の検討には,腫瘍の組織構築からみた解析が必要と言えた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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