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文献詳細

雑誌文献

胃と腸32巻11号

1997年10月発行

文献概要

今月の主題 Is型大腸sm癌を考える 主題

Is型大腸sm癌の治療―内科の立場から―内視鏡治療の適応を中心に

著者: 斉藤裕輔1 渡二郎1 藤城貴教1 谷口雅人1 野村昌史1 栄浪克也1 垂石正樹1 綾部時芳1 蘆田知史1 太田智之2 折居裕2 横田欽一1 小原剛1 高後裕1

所属機関: 1旭川医科大学第3内科 2旭川厚生病院消化器科

ページ範囲:P.1489 - P.1501

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要旨 早期大腸癌の中でIs型早期大腸癌の治療上の重要性を明らかにし,併せて深部浸潤したIs型早期大腸癌のX線,内視鏡における特徴を明らかにすることを目的とした.1990年1月から1996年12月までに旭川医科大学第3内科および旭川厚生病院消化器科で診断,治療した早期大腸癌695病変中,Is型早期大腸癌135病変を対象とした.Is型早期大腸癌の深達度別の治療法の内訳について検討した.また,sm深部浸潤例に特徴的に出現する注腸X線,大腸内視鏡所見について病理組織との対比から検討した.その結果,(1)Is型早期大腸癌のsm浸潤率は42.2%(57/135)で,他の隆起型早期癌と比較して有意に高率であり(p<0.005),深部浸潤例も多かった.(2)sm深部浸潤例に対して内視鏡治療が先行された19病変中,Is型は9病変(47.4%)と多く,その大きさの平均は12.6mmと小さかった.(3)深部浸潤したIs型sm癌の注腸X線検査,内視鏡検査の特徴は,①表面にびらんを有する,②緊満感を有する,③立ち上がりが正常粘膜である,④側面像で弧状変形を認める(注腸X線検査)の4項目であった.結論として,大きさ10mm前後のIs型早期癌のうち,特に,注腸X線,大腸内視鏡検査で隆起表面にびらんを認める病変では深部浸潤例も多く,内視鏡治療の適応決定は慎重に行うべきである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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