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文献詳細

雑誌文献

胃と腸32巻12号

1997年11月発行

今月の主題 腺領域からみた胃病変

主題

胃底腺粘膜の萎縮度からみた腺領域の病理組織学的検討

著者: 大倉康男1 中島寛隆12 沢田正則12 三上哲男3 八巻悟郎4 尾崎幹4 大浦通久4 松本悟4 幸田隆彦4

所属機関: 1東京都がん検診センター検査科 2東京医科歯科大学医学部病理 3北里大学医学部第1病理 4東京都がん検診センター消化器科

ページ範囲:P.1549 - P.1559

文献概要

要旨 胃の腺領域については多くの研究があるが,臨床病理学的には中村の分類が広く用いられている。けれども,腸上皮化生の有無で決定する定義に従うと,腸上皮化生のない萎縮した胃底腺の境界に悩むことも少なくない.胃底腺の萎縮度を胃底腺が1ないし数腺管単位で散在性に認められる領域,胃底腺が巣状に認められる領域,萎縮した胃底腺が連続して認められる領域,胃底腺は正常腺管であるがリンパ球浸潤がみられ腺管間がわずかに開大した領域,胃底腺が全く萎縮のない領域の5段階に分け,腺境界について33例の切除例を用いて検討した.境界線の拡がり方,F境界線との比較,肉眼所見,小さな癌の背景粘膜,胃底腺領域に発生した分化型癌などについて検討した結果,胃底腺領域を萎縮した領域,萎縮のない領域,その境界領域と分類することが臨床病理学的には整合性が高いと言えた.腸上皮化生の程度は胃底腺粘膜の萎縮度と相関があるものの,萎縮度で判定したほうがより的確に境界づけられ,中村の境界線との比較では,上記3領域を分ける境界線を新たにF境界線,f境界線とするほうが適当と考えられた.また,境界領域は移行帯あるいは萎縮移行帯と称するのがよいと考えられた.肉眼所見での対比では,F境界線は粘膜ひだで比較的捉えやすく,f境界線は血管透見,胃小区模様で捉えやすい結果であり,後者のほうが組織学的境界線とより適合した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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