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文献詳細

雑誌文献

胃と腸32巻12号

1997年11月発行

文献概要

今月の主題 腺領域からみた胃病変 主題

腺領域からみた胃腺腫の診断

著者: 田畑寿彦1 渕上忠彦1 八尾隆史2 小林広幸1 堺勇二1 飯塚佳彦1 永江隆1 菊池陽介1 長村俊志1 石川伸久1 中島穰1 吉永英希1 山本一郎3 中西護3

所属機関: 1松山赤十字病院消化器科 2九州大学医学部第2病理 3松山赤十字病院病理部

ページ範囲:P.1591 - P.1597

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要旨 組織学的に胃腺腫と診断された78例83病巣を対象として,組織学的に腫瘍の周囲粘膜に胃底腺を認めるF型腺腫と胃底腺を認めないP型腺腫に分け,両者を臨床病理学的に比較検討した.F型が26.5%,P型が73.5%で圧倒的にP型が多かった.F型,P型の平均年齢はそれぞれ72.3歳,66.9歳でF型はP型より有意に高齢者に多かった.腺腫の肉眼型,大きさ,他部位胃癌合併率に関してはP型とF型で差を認めなかった.F型はC領域,M領域の大彎寄りに多く,P型はA領域とC領域,M領域の小彎寄りに多かった.F型,P型ともに周囲の粘膜固有腺の萎縮が高度で著明な腸上皮化生を伴った粘膜を背景として発生しており,すべて腸型腺腫であった.ただし,F型,P型とも約30%は一部に胃型形質を混じる不完全型腸型腺腫であった.周囲の腸上皮化生に関してF型は完全型が多いのに対してP型は不完全型が多い点,F型がP型に比して高異型度腺腫が多い点から,組織発生においてF型とP型で相違がある可能性が示唆された.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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