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文献詳細

雑誌文献

胃と腸32巻12号

1997年11月発行

文献概要

研究

早期大腸癌におけるX線学的および内視鏡学的深達度診断の研究

著者: 帆足俊男12 八尾恒良1 渕上忠彦3 岩下明徳2 八尾建史1 津田純郎1 松井敏幸1 伊廻宏3

所属機関: 1福岡大学筑紫病院消化器科 2福岡大学筑紫病院病理 3松山赤十字病院胃腸科

ページ範囲:P.1651 - P.1662

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要旨 大腸癌のうち粘膜内癌(m癌)と粘膜下層にわずかに浸潤した癌(sm1癌)とは内視鏡治療(内視鏡摘除術)の対象とされ,粘膜下層に大量に浸潤した癌(sm2およびsm3癌)は外科的治療の適応と考えられている.われわれは,早期大腸癌119例(m癌31例,sm1癌29例,sm2癌24例,sm3癌35例)を対象として,m癌,sm1癌とsm2,sm3癌との鑑別がX線,内視鏡的に可能かどうか,smへの癌浸潤に起因すると考えられる病巣部の“伸展不良を現す所見”の有無を基準として検討した.IIa以外の肉眼型では内視鏡における"管腔の弧の硬化像"が最も有用な所見であった.また,X線検査では“画然とした硬化像”の有無が最も鑑別に有用であった.他の伸展不良所見も存在すればsm2以上に癌が浸潤していた.病巣の伸展不良を現す所見以外,例えば緊満感などの所見は少なからず偽陽性,偽陰性が存在した.また,“伸展不良所見”の有無を的確に判定するためには,①十分な空気量を注入し,②腸管の蠕動運動の影響をなくした写真で判定し,X線検査では側面像の描出,内視鏡検査では遠見での観察が必要であった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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