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文献詳細

雑誌文献

胃と腸32巻13号

1997年12月発行

文献概要

今月の主題 との鑑別を中心に 主題

内視鏡的粘膜切除術を施行した胃sm癌の臨床経過―経過観察例の検討

著者: 赤松泰次1 倉石章2 金児泰明2 上野徹男2 後藤暁2 下平和久2 清澤研道2 勝山努3

所属機関: 1信州大学附属病院光学医療診療部 2信州大学附属病院第2内科 3信州大学附属病院臨床検査医学

ページ範囲:P.1725 - P.1730

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要旨 内視鏡的粘膜切除術(EMR)後,追加手術を施行せずに経過観察した胃sm癌9例について検討した.切除標本の病理組織学的所見は,組織型は9例中5例がtub1,2例がtub2,papとpor1が各1例で,粘膜内と粘膜下層に存在する癌組織の異型度が明らかに異なる症例がみられた.sm浸潤度は8例がsm1,残りの1例はsm3で,脈管侵襲は3例に認められた.臨床経過は1例で局所再発,他の1例で異時性多発を認め,いずれも再度EMRを行った.3例が他因病死したが,経過観察中(7~68か月,平均32.3か月)リンパ節再発や遠隔転移を来した症例はなかった.切除標本でsm浸潤を認めた場合には原則的に追加手術を考慮すべきであるが,①sm浸潤の程度が軽度(sm1),②sm浸潤部の組織型が高分化型腺癌,③脈管侵襲陰性,の3つの条件を満たす場合には,経過観察が可能と考えられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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