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文献詳細

雑誌文献

胃と腸32巻2号

1997年02月発行

文献概要

早期胃癌研究会症例

再発を繰り返した分類不能の腸潰瘍の1例

著者: 足立経一1 末次浩1 日高勝子1 橋本朋之1 鍛治武和1 串山義則1 河村朗1 天野和寿1 石原俊治1 奥山俊彦1 平川和也1 有馬範行1 福本四郎1 矢野誠司2 長岡三郎3

所属機関: 1島根医科大学第2内科 2島根医科大学第1外科 3島根医科大学中央検査部病理

ページ範囲:P.203 - P.211

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要旨 患者は44歳,女性.1991年6月微熱,下痢傾向,左下腹部痛を主訴に来院.初診時,注腸X線検査および大腸内視鏡検査で,直腸‐S状結腸に縦走潰瘍を認めた.潰瘍の増悪,強いとう痛のため,直腸切除を施行.病理組織学的には特異的な所見を認めなかった.術後,とう痛は消失していたが約1か月半後,吻合部近傍に潰瘍の再発を認め,再びとう痛が出現し,増強してきたため,2回目の手術(直腸‐S状結腸切除術)を施行した.人工肛門の口側に再び潰瘍の発生を認め,腸管穿孔を起こしたために3回目(S状結腸,下行結腸切除術),4回目(横行結腸,下行結腸,盲腸切除術)の手術を施行したが,いずれの切除標本の病理組織学的検索でも特異的な所見を認めないこと,現在までのところ同様の経過をとった症例の報告はないことから,分類不能の腸潰瘍と診断し,報告した.治療として,ステロイド剤,elemental diet療法,絶食,高カロリー輸液などを行ったが,無効であった.1994年8月には,内視鏡検査で回腸末端に潰瘍の再発を認めており,治療に難渋している.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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