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文献詳細

雑誌文献

胃と腸32巻2号

1997年02月発行

文献概要

早期胃癌研究会症例

膵頭十二指腸切除後のBraun吻合部に発生した多発空腸癌の1例

著者: 西脇寛1 田中光司1 藤野一平1 池田哲也1 三宅哲也1 竹代章2 白石泰三3 武田博士4

所属機関: 1岡波総合病院外科 2岡波総合病院内科 3三重大学医学部病理学教室 4天理よろづ相談所病院消化器外科

ページ範囲:P.235 - P.240

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要旨 患者は68歳,女性.貧血,上腹部痛で来院した.既往歴として16年前に十二指腸癌,8年前にS状結腸癌の手術を受けている.上部消化管透視で,Braun吻合部を中心に胆管側,肛門側にまたがった不整で浅い陥凹病変を認め,口側には棍棒状ひだの集中像を認めた.内視鏡検査で切歯から約85cmのBraun吻合部に3型病変を,この病変から2cm口側でひだの集中を伴うⅡc型病変を認め,生検で2病変とも腺癌の結果を得た.摘出標本では,Braun吻合部上に4×3cmの不整形の3型癌を認め,2cm胃側に3mmのⅡc型癌を認めた.組織診断は,深達度は前者がmp,後者はsmで,両病変とも中分化型腺癌であった.組織学的にも2病変に連続性は認められなかった.多発空腸癌がBraun吻合部に発生した症例は,本例以外に欧米文献にも認めなかった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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