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文献詳細

雑誌文献

胃と腸32巻3号

1997年02月発行

特集 炎症性腸疾患1997

主題 Ⅰ.診断 2.Crohn病

(1)診断基準と診断の進め方

著者: 八尾恒良1

所属機関: 1福岡大学筑紫病院消化器科

ページ範囲:P.317 - P.326

文献概要

要旨 Crohn病診断の手順と診断基準について解説した.本症診断のポイントは以下の点にあると考えた.(1)診断基準(案)適用以前に要を得た病歴聴取,一般検査所見が必要である.(2)X線・内視鏡検査を行う場合,小腸X線検査を施行すればCrohn病の8割は確診できると推定される.大腸のX線・内視鏡検査で確診できる頻度はこれより低率である.(3)縦走潰瘍を起こす腸疾患として,虚血性腸炎,腸重積,閉塞性大腸炎,急性腸炎(感染性腸炎,薬剤性腸炎),潰瘍性大腸炎など,著しい浮腫を伴った虚血性病変およびBehçet病が知られている.臨床的事項を加味すればCrohn病との鑑別は容易であろう.(4)敷石像は平坦な粘膜を欠く区域性に密集した隆起に対する呼称である。エルシニア腸炎,腸結核,閉塞性大腸炎,大腸癌などでも敷石像様病変がみられる.(5)Crohn病では敷石像が消槌すれば縦走潰瘍が出現する.したがって,両者を診断の目安とすれば診断困難な症例は少ない.(6)非乾酪性類上皮細胞肉芽腫は他疾患にもみられる.X線・内視鏡所見など臨床所見と合わせて診断することが必要である.(7)縦列する不整形潰瘍またはアフタ,特に十二指腸潰瘍に縦列するアフタがみられれば本症である可能性が高い.(8)アフタのみのCrohn病の場合,アフタ性腸炎などの除外が必要である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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