icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸32巻4号

1997年03月発行

文献概要

今月の主題 大腸腺腫症―最近の知見 主題

家族性大腸腺腫症における長期経過からみた大腸病変の取り扱い

著者: 山城正明1 牛尾恭輔1 内山菜智子1 飯沼元1 宮川国久1 石川勉1 横田敏弘2 藤田伸3 赤須孝之3 杉原健一3 森谷冝晧3 落合淳志4 下田忠和5

所属機関: 1国立がんセンター中央病院放射線診断部 2国立がんセンター中央病院内科 3国立がんセンター中央病院外科 4国立がんセンター中央病院研究所病理部 5国立がんセンター中央病院臨床検査部

ページ範囲:P.551 - P.561

文献購入ページに移動
要旨 1966年11月から1996年10月までの約30年間に国立がんセンターを受診し,家族性大腸腺腫症と診断され,経過観察が行われたのは78症例であった.56例に大腸の切除術がなされ,22例に結腸全摘回腸直吻合術が施行された.このうち3年以上の経過観察がなされた16例中7例で,残存した直腸に癌が出現し,初回手術から2回目手術までの平均follow-up年数は13.6年であった.この7例中3例に進行癌が出現したが,いずれも定期的な外来通院を中断し,長期間経過観察を受けていない症例であった.一方,定期的な経過観察が行われた症例では,早期癌は認められても進行癌の出現はなかった.これらの結果から,結腸全摘回腸直腸吻合術を行った症例では,放置すると10年以内に,進行癌が出現する危険性が高いことが判明し,直腸を温存した術式では,少なくとも年1回の経過観察の必要性が再確認された.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?