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文献詳細

雑誌文献

胃と腸32巻4号

1997年03月発行

文献概要

今月の主題 大腸腺腫症―最近の知見 主題

家族性大腸腺腫症における長期経過からみたデスモイド腫瘍の取り扱い

著者: 馬場正三1 小里俊幸2

所属機関: 1浜松医科大学第2外科 2静岡県立総合病院外科

ページ範囲:P.577 - P.584

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要旨 家族性大腸腺腫症手術後に好発するデスモイド腫瘍は,腹腔内デスモイドと腹壁デスモイドに分けることができ,その臨床像はかなり異なる,デスモイド腫瘍は転移を起こすことなく良性疾患の範疇に入れられているが,周囲組織に浸潤性増殖する性質が強く,特に腹腔内デスモイドでは上腸間膜動静脈などの主幹血管を巻き込み,外科的に摘出することが困難な場合が多く,臨床的には悪性な疾患である.特にデスモイドが高率に発生する好発家系が認められるために,そのような家系を治療する場合,十分な配慮が必要である.女性,特に出産能力のある若い女性に好発することが知られている.家族性大腸腺腫症の原因遺伝子がクローニングされ,発症前診断から予防的切除術が更に広く行われることが予測されるが,今後,デスモイドの発生が最大の問題となる.第二癌としての胃癌・十二指腸乳頭部癌のsurveillanceが強調されているが,デスモイドの治療法の開発も重要な問題である.現在,内科的治療法としてtamoxifen,sulindac療法が推奨されているが,有効率は約60%である.最近adriamycin療法の有効性も報告されている.デスモイド腫瘍の発生は手術後3年以内の場合が多いので,好発家系内の患者を手術した場合,術後からtamoxifen,sulindac併用療法を予防的に行うのもよいと考える.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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