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文献詳細

雑誌文献

胃と腸32巻4号

1997年03月発行

文献概要

今月の主題 大腸腺腫症―最近の知見 主題

APC遺伝子

著者: 西庄勇12 三嶋秀行1 柳生俊夫1 池永雅一1 竹政伊知朗1 蓮池康徳1 小林研二1 吉川宣輝1

所属機関: 1国立大阪病院外科 2国立大阪病院臨床研究部

ページ範囲:P.601 - P.606

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要旨 APC(adenomatous polyposis coli)遺伝子はFAP(familial adenomatous polyposis)患者のおよそ70%で変異が認められる一方,散発性の大腸腫瘍においてもしばしば失活している.遺伝子変異の大部分はストップコドンを生じるものである.FAP患者では変異の位置と表現型との間に関連性のみられる場合もある.APC蛋白はN末端部でダイマーを形成し,中央部はカテニンと結合することが明らかにされている.カテニンは細胞接着分子であるカドヘリンと結合するが,APC蛋白はカテニンと結合することで,カドヘリンとカテニンの結合を調節し,細胞相互の接着や細胞の増殖をコントロールしているものと考えられる.APC遺伝子が同定されたことにより,FAP家系内では保因者の発症前遺伝子診断が可能になった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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