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文献詳細

雑誌文献

胃と腸32巻4号

1997年03月発行

文献概要

今月の主題 大腸腺腫症―最近の知見 主題症例

胃・十二指腸多発腺腫および十二指腸乳頭部癌を契機に発見されたGardner症候群の1例

著者: 江上のり子1 多田修治1 廣田和彦1 池田和隆1 中村太造1 原口修1 須古博信1 野村耕二2 志垣信行2 瀬井圭起2 神尾多喜浩3 須古修二3

所属機関: 1済生会熊本病院消化器科 2済生会熊本病院消化器外科 3済生会熊本病院病理

ページ範囲:P.623 - P.629

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要旨 患者は45歳の男性.1995年5月,人間ドックで胃隆起性病変を指摘され,当科で上部消化管内視鏡検査を行い,多発性の胃腺腫,十二指腸腺腫および十二指腸乳頭部癌を認めた.家族性大腸腺腫症を疑い大腸内視鏡検査を行ったところ,非密生型の大腸ポリポーシスを認めた.全身の検索で,前頭骨部に骨腫,前胸部に類表皮囊胞を認め,Gardner症候群と診断した.X線,EUS,ERCPで十二指腸乳頭部の腫瘍は粘膜内癌と診断し,外科的ポリペクトミーを行った.腫瘍は3.0×2.3cmの粘膜内にとどまる乳頭状腺癌であった.近年,家族性大腸腺腫症患者において,上部消化管腫瘍性病変の報告が増加しているが,本例も大腸腺腫症患者における上部消化管検査の重要性を裏付ける症例と思われた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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