文献詳細
今月の主題 粘膜下腫瘍様の食道表在癌
序説
文献概要
亡くなられた白壁彦夫先生が,消化管の比較診断学に目を向けられたのが,今から12年前(「胃と腸」20巻3号,1985年)である.その主旨は,消化管のX線診断の共通点を求めたものであるが,その意義を拡大して類似点だけでなく相違点を比較検討することも有意義と思われる.そのような目でみると,本号の“粘膜下腫瘍様の食道表在癌”も比較診断をするのに興味ある主題である.と言うのは,病変が粘膜面に現れている部分よりも粘膜下以深に浸潤している部分のほうが大きいということは,深達度診断だけでなく,拾い上げ診断,発育・進展などの自然史にも絡んだ共通性の問題点があるからである.
粘膜下以深に発育・進展する代表的なものは,胃のlinitis plastica型癌である.しかし,この病変は発見時にはほとんどseに達しており,粘膜面からみてもあまり凹凸の目立たないのが特徴である.それに,その前段階とされるlatentあるいはpre-linitis plasticaと言われる早い時期のものでも,sm癌で発見することは容易ではなく,ほとんどmpあるいはmp以深に深達しているものが多い.組織学的には未分化型で浸潤性に発育し,発育・進展様式が急速でかなり特徴的である.それだけに予後も非常に悪い.
粘膜下以深に発育・進展する代表的なものは,胃のlinitis plastica型癌である.しかし,この病変は発見時にはほとんどseに達しており,粘膜面からみてもあまり凹凸の目立たないのが特徴である.それに,その前段階とされるlatentあるいはpre-linitis plasticaと言われる早い時期のものでも,sm癌で発見することは容易ではなく,ほとんどmpあるいはmp以深に深達しているものが多い.組織学的には未分化型で浸潤性に発育し,発育・進展様式が急速でかなり特徴的である.それだけに予後も非常に悪い.
掲載誌情報