文献詳細
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書評「CHOLELITHIASIS:Causes and Treatment」 フリーアクセス
著者: 大菅俊明1
所属機関: 1筑波大学
ページ範囲:P.722 - P.722
文献概要
胆石保有者は全世界で膨大な数にのぼり,加齢とともに頻度が増すので,その対策は高齢社会において重要な意義を持つ.胆石症はエジプトのミイラ以来の人類のありふれた病気だったので関心は高く,その研究は消化器病学の桧舞台の1つであった.明治以来,九州大学第1外科教室はわが国の胆石研究の指導的役割を果たしてきた輝かしい伝統を持っている.著者の中山文夫名誉教授は三宅速教授,その令息の三宅博教授の後を継がれて16年間,教室を主宰された.学問的伝統を背負い,外科医として,更にまた薬学科において化学者としての素養を加えたのち,米国のJohnston教授のもとに学んだ著者は,1957年,既に胆汁酸とレシチンによる非手術的胆石溶解の試みを発表されている.このことはRainsの胆石の著書にも先駆的業績として紹介されたが,その後も国際的研究者として華々しい活躍をされ,多数の論文を世に問われた.本書はその長い研究成果の精髄である.
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