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文献詳細

雑誌文献

胃と腸32巻6号

1997年05月発行

今月の主題 早期胃癌から進行癌への進展

主題

内視鏡診断からみた早期胃癌から進行胃癌への進展

著者: 吉田茂昭1 大津敦1 近藤仁2 斉藤大三2 笹子三津留3 丸山圭一3 下田忠和4

所属機関: 1国立がんセンター東病院内科 2国立がんセンター中央病院内科 3国立がんセンター中央病院外科 4国立がんセンター中央病院臨床検査部病理

ページ範囲:P.825 - P.834

文献概要

要旨 経過観察例における内視鏡所見の変化,単発胃癌切除例(3,002例)における肉眼形態の統計学的検討により,早期胃癌から進行胃癌への進展過程を考察した.最終診断が進行癌であった経過観察例のうち,確診5年以内に良好な内視鏡写真が得られた26例の病変像をみると,Ⅱc類似進行癌では潰瘍所見を示すものが78%(7/9)を占めた.また,2~4型では潰瘍所見を示すものは24%(4/17)にすぎず,異常所見を認めなかったものと非潰瘍性のわずかな異常所見(小陥凹像や色調の異常など)を示すものが大部分で,これらの進行癌への進展は急激であった.また,prospectiveな経過観察となった2例ではいずれも短期間に顕著な増悪所見が認められ,早期癌から進行癌へ至る進展過程の一端を把握しえた.一方,多数例の胃癌切除例による多変量解析では,特に若年の陥凹型早期癌から3型,4型進行癌への進展が示唆された.以上の成績は早期癌から進行癌への進展は多種多様であるが,おおよそ潰瘍性と非潰瘍性の2つのパターンに大別可能であること,早期診断をより確実なものとするには非潰瘍性のわずかな異常所見に留意すべきであることを示している.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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