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文献詳細

雑誌文献

胃と腸32巻6号

1997年05月発行

文献概要

今月の主題 早期胃癌から進行癌への進展 主題症例

胃粘膜内癌が広範囲なリンパ節,骨髄,卵巣に転移し,PTTMで死亡した1例

著者: 五十嵐誠治12 川口隆憲2 星暢夫2

所属機関: 1栃木県立がんセンター研究検査部病理 2福島県立医科大学第2病理

ページ範囲:P.861 - P.865

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要旨 呼吸不全で発症し原因不明の肺高血圧症と右心不全を伴って発症後約8か月で死亡した症例を経験した.患者は29歳の女性で妊娠18週であった.剖検したところ,胃角部前壁の20×20mm大の粘膜内癌と広範囲なリンパ節,骨髄,卵巣に転移が認められた.肺転移はなかったが,両側全葉の小~細動脈に腫瘍塞栓の多発と血管内膜の著明な肥厚による高度の狭窄が認められ,いわゆるpulmonary tumor thrombotic microangiopathy(PTTM)が直接死因と考えられた.本症例はm癌の遠隔転移例である点,およびPTTMを合併している点で稀有な例であるが,転移とPTTMの責任因子を解明する目的で癌細胞のestrogen receptorとtissue factorの発現を免疫組織学的に検討した.しかし両者とも染色陰性であった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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