icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸32巻7号

1997年06月発行

今月の主題 感染性腸炎(腸結核を除く)

主題症例

肝膿瘍を併発したエルシニア腸炎の1例

著者: 安藤正夫1 望月福治1 長南明道1 三島利之1 松永厚生2 富永現2 野村美樹子2

所属機関: 1JR仙台病院消化器内視鏡センター 2仙台市医療センター消化器内科

ページ範囲:P.993 - P.998

文献概要

要旨 患者は64歳,女性.右下腹部痛を主訴に近医を受診し,注腸X線充満像で上行結腸の進行癌疑いとして紹介された.入院後の内視鏡検査で,上行結腸に多発する不整な浅い潰瘍を伴う狭窄像を認めた.同部からの生検では,非特異的な炎症像を示すのみで,腫瘍細胞はみられなかった.注腸X線検査では,終末回腸の伸展不良と小潰瘍およびBauhin弁の腫大もみられた.第3病日より発熱がみられ,第9病日のCTおよび超音波検査で,肝内に3か所の膿瘍を認めた.膿汁の培養で,Yersinia enterocoliticaが検出された.抗生物質投与により,臨床症状および血液検査データは改善し,大腸病変は潰瘍瘢痕を残して治癒し,肝膿瘍も消失した.便培養では,病原菌は検出されず,血清抗体価の上昇もみられなかったが,臨床経過から,エルシニア腸炎に肝膿瘍を併発したまれな症例と考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら