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文献詳細

雑誌文献

胃と腸32巻8号

1997年07月発行

今月の主題 胃噴門部領域の病変 (1)癌

主題

食道浸潤胃癌における進展・浸潤範囲の画像診断―X線・内視鏡診断の立場から

著者: 大山隆1 馬場保昌12 辻雄一郎1 西山昌宏1 牟田仁彦1 加来幸生1 武本憲重1 竹腰隆男1 丸山雅一1 太田博俊3 石原省3 加藤洋4

所属機関: 1癌研究会附属病院内科 2癌研究会附属病院総合健診センター 3癌研究会附属病院外科 4癌研究会附属病院研究所病理

ページ範囲:P.1039 - P.1052

文献概要

要旨 病理組織学的検索で食道浸潤の認められた胃癌72例72病変(X線的検討35例および内視鏡的検討59例)を対象に臨床病理学的に検討した.原発巣の部位はC領域が81%と最も多く,肉眼型では進行4型(46%),進行3型(25%)が多かった.先進部浸潤層はlpm以深の上皮下浸潤の頻度が有意に高く(76.4%;p<0.01),特にsmを中心とする多層浸潤が多かった.EGJ非破壊型は未分化型癌に多い傾向がみられた.食道浸潤のX線所見は分化型癌では限局した陰影欠損(A型),未分化型癌では不整狭小化像(B型)を示すものが多かった.X線的に異常所見が指摘できなかったD型(6例)は未分化型癌が多く,食道浸潤距離は11mm以下,その先進部浸潤層はlpm以下の上皮下浸潤が多かった.内視鏡所見ではEGJ破壊型の上皮浸潤所見は隆起が多く(84.6%),陥凹は少なかった.EGJ非破壊型で上皮浸潤所見を示したものは,未分化型癌の1例(陥凹を伴う隆起)のみであった.未分化型癌EGJ非破壊型の先進部の上皮下浸潤所見は分化型癌EGJ非破壊型に比べて出現率は低かった.内視鏡的に食道浸潤所見を指摘できない7例の組織型はすべて未分化型癌,浸潤距離は12mm以下,lpm以深の単層または多層浸潤である.X線的・内視鏡的な診断の留意点は,①分化型癌か未分化型癌かを考慮すること,②陰影欠損像やEGJの破壊など癌の上皮浸潤所見に注目すること,③食道下部の狭少化,伸展不良,辺縁の異常および縦ひだの肥厚浸潤など癌の上皮下浸潤所見に注目することである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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