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文献詳細

雑誌文献

胃と腸32巻8号

1997年07月発行

文献概要

今月の主題 胃噴門部領域の病変 (1)癌 主題

噴門部領域の癌に対する最近の治療法

著者: 太田孝仁1 磨伊正義1 藤本敏博1 崔鳳東1 荻野知己2 高橋豊1

所属機関: 1金沢大学がん研究所外科 2おぎの胃腸科クリニック

ページ範囲:P.1081 - P.1089

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要旨 噴門部癌55例を対象に適切な治療法につき検討した.その結果,リンパ節転移率は深達度がss以深の症例で著明に上昇しており,mp症例では10例中3例(30%)と転移率こそ低かったものの,脾動脈幹リンパ節への転移率は66.7%と高かったことから,mp以深の症例に対しては胃全摘術および膵脾合併切除を行うべきと考えられた.一方,噴門部早期胃癌8症例では第2群リンパ節転移を来した症例はみられず,C領域のsm癌症例32例においても,大彎リンパ節右側,幽門上・下リンパ節への転移陽性症例は認めなかったことから,内視鏡的治療が困難,あるいは適応外の早期胃癌に対してはQOLを考慮した噴門側胃切除術が最適と思われた.リンパ節転移を来さないと判断される早期胃癌に対してはEMRを第一選択とすべきであるが,完全切除率は噴門部においては70%前後とされるため切除後の厳重なる経過観察が肝要であり,完全切除が困難な症例に対しては侵襲の少ない腹腔鏡下粘膜切除が有用と考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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