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文献詳細

雑誌文献

胃と腸32巻8号

1997年07月発行

文献概要

症例

衝突早期胃癌の1例

著者: 高木國夫1 岩切啓二1 下重勝雄2 深原俊明2 神保勝一3

所属機関: 1林外科病院 2江戸川病院 3神保消化器内科医院

ページ範囲:P.1141 - P.1146

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要旨 患者は65歳,女性.症状なく,健診の内視鏡検査で胃角のⅡcと診断された.胃X線所見で胃角後壁に結節状隆起と,この病変に接して肛門側に浅い不整陥凹を認めた.側視鏡による所見で,胃角小彎に境界明瞭なⅡcと,これに接して口側に白色の扁平隆起を認めた.なお,胃体中部小彎の発赤したびらんは生検でadenocarcinomaであった.ⅡaとⅡcの衝突癌疑い,胃体部のⅡcとの術前診断で胃切除を行った.切除胃ならびに組織所見は,胃角小彎に5×2cmのⅡc,por1,m,Ul-Ⅱsで,これに接した口側のⅡaに連続して口側にⅡcが広く進展し,胃体部のIlc部位をも含む10×5cmのⅡa+Ⅱc,tub1,m,Ul-Ⅱs,n(-)(0/20)で,組織像は低異型度小腸型分化型腺癌に相当し,2個の早期癌の衝突を組織学的に診断しえた.早期胃癌の診断にあたって,ⅡaとⅡcの相接する所見と両者の生検所見が明らかに異なる場合には,衝突癌の存在を念頭に置くべきであろう.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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