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文献詳細

雑誌文献

胃と腸32巻8号

1997年07月発行

文献概要

症例

大腸深在性囊胞症を合併した潰瘍性大腸炎の1例

著者: 早坂隆1 畑中一映1 児嶋美朝1 寺田明功1 江原亮子1 阿部雅一1 紺野潤1 林下尚之1 筒井理裕1 佐々木春喜1 川村詔導1 石川隆久1 清水鉄也2 児嶋哲文2 伊藤哲夫3

所属機関: 1函館中央病院内科 2函館中央病院外科 3北海道病理組織センター

ページ範囲:P.1147 - P.1152

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要旨 50歳,男性.下血で入院.2年前の下血時に精査を行ったが出血源は不明であった.今回の出血時に行った緊急内視鏡検査で,出血源は虫垂起始部の盲腸粘膜にみられた10mm大の平坦な隆起性病変であった.切除材料で,虫垂起始部盲腸粘膜に10mm大の平坦な隆起性病変がみられ,中心部にびらんと出血がみられた.同部は,組織学的に潰瘍性大腸炎の所見を呈し,これに大腸深在性囊胞症(膿瘍を合併)の所見を伴っていた.虫垂と上行結腸は肉眼的に異常を示さなかったが,組織学的には潰瘍性大腸炎の所見を示した.その後の大腸内視鏡検査で上行結腸はびらん形成を示したが,直腸は点状出血のみで,生検でも潰瘍性大腸炎の所見はなかった.本症例は盲腸,虫垂突起を主体とした右側結腸型潰瘍性大腸炎で,二次的に発生した膿瘍合併の大腸深在性囊胞症が出血源となったものと考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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