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文献詳細

雑誌文献

胃と腸32巻9号

1997年08月発行

今月の主題 胃噴門部領域の病変 (2)癌以外の病変

主題

噴門部領域の潰瘍性病変

著者: 吉田操1 葉梨智子1 門馬久美子2 加藤久人2 山田義也2 小澤宏2 榊信廣3 荒川丈夫3 小池盛雄4

所属機関: 1東京都立駒込病院外科 2東京都立駒込病院消化器内科 3東京都立駒込病院内視鏡科 4東京都立駒込病院病理科

ページ範囲:P.1175 - P.1180

文献概要

要旨 1992年から1996年の5年間の上部消化管内視鏡検査32,904件のうち食道胃接合部領域に主座を有する潰瘍性病変は53症例あった.潰瘍の原因別としては,胃食道逆流症20症例(38%),感染症7症例(13%),Mallory-Weiss症候群24症例(45%),その他2症例(4%)であった.今回は,Mallory-Weiss症候群を除いて自験例の検討を行った.胃食道逆流症としての接合部潰瘍は長軸方向に走る食道のびらん性病変を伴ったものと,伴わないものとがあり,20症例の90%は食道裂孔ヘルニアを合併していた.高度の狭窄は1例(5%)で,全周性の病変であった.潰瘍病巣は1個の場合が最も多く,多くても4個であった.病巣の存在部位は,後壁(50%),右壁(23%),前壁(10%),左壁(10%),全周(7%)であった.7症例のHIV感染症例に食道潰瘍病変が認められ,herpes simplex virus 1,cytomegalovirus 6症例の感染と診断された.いずれも多発病変で,5症例は食道胃接合部に潰瘍病変を有していた.CMV感染と関連した食道潰瘍は多発し,広く縦長の打ち抜き状の潰瘍であった.血管内皮細胞や線維芽細胞などの非上皮性細胞内に大型の核内封入体をみた.良性食道潰瘍で食道癌と誤診されたものがあり,幼弱で腫大した再生上皮を生検し,異型性が顕著であるために上皮内癌と診断されたものがある.潰瘍組織でも,ときには内皮細胞や間質系細胞の著しい腫大がみられ,低分化の癌細胞と間違えることがあり注意が必要である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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