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文献詳細

雑誌文献

胃と腸32巻9号

1997年08月発行

文献概要

今月の主題 胃噴門部領域の病変 (2)癌以外の病変 主題症例

噴門部の胃平滑筋肉腫(GIST,uncommitted type)の1例

著者: 伊東昌広1 花井恒一1 宮川秀一1 三浦馥1 村居譲2 保原怜子2 高濱和也2 渡邊真2 中野浩2 黒田誠3

所属機関: 1藤田保健衛生大学医学部外科 2藤田保健衛生大学消化器内科 3藤田保健衛生大学病理科

ページ範囲:P.1205 - P.1209

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要旨 患者は45歳,男性.健診の胃X線検査で異常陰影を指摘され本院に入院した.胃X線検査では噴門部中央に潰瘍のある大きな腫瘤陰影が認められた.内視鏡検査では粘膜下腫瘍と診断され,潰瘍部分からの生検で平滑筋肉腫と診断された.CTでは腫瘤は胃壁外に発育していた.切除標本では,胃壁外に発育した8×4.8×4.8cmの腫瘤で,粘膜面に潰瘍形成が認められた.H・E染色による病理組織診断では,細胞異型,核異型を持った紡錘形の細胞から成る組織像は細胞密度が高く,核分裂像も多くみられる(18/10HPF)ことより,胃平滑筋肉腫と診断された.免疫組織学的染色を行うとS100,デスミン,平滑筋アクチンは陰性で,ビメンチン,また,幼若な間葉系細胞に染まるCD34が陽性であった.免疫組織学的見地からこれらの腫瘍をgastrointestinal stromal tumor(GIST)に入れて考えるという観点から,この腫瘍はGISTのuncommitted typeに分類された.今後,このような免疫組織化学的検討が,臨床的には治療法の選択,予後の判定に役立つことが期待される.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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