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文献詳細

雑誌文献

胃と腸32巻9号

1997年08月発行

文献概要

今月の主題 胃噴門部領域の病変 (2)癌以外の病変 主題症例

食道胃接合部に発生した乳頭腫の2例

著者: 大山隆1 馬場保昌12 加来幸生1 竹腰隆男1 丸山雅一1 加藤洋3

所属機関: 1癌研究会附属病院内科 2癌研究会附属病院総合健診センター 3癌研究会附属病院研究所病理

ページ範囲:P.1215 - P.1220

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要旨 食道胃接合部に発生した食道乳頭腫の2例を報告した.〔症例1〕は48歳,男性.主訴は上腹部不快感.上部消化管X線検査で胃入口部にポリープを指摘された.内視鏡検査では,食道胃接合部に約1cmの粗大顆粒状の亜有茎性ポリープを認め,表面は赤色調の部と不整形の白色調の部が混在していた.ヨード染色では,大部分が不染を示していた.生検時の組織像では,ポリープの一部には炎症細胞を伴う肉芽組織があり,その中に大型の異型細胞が散見され,食道扁平上皮癌が疑われた.内視鏡的ポリペクトミーによる病理組織学的診断は,びらんを伴う乳頭腫であり,pseudomalignant erosion(PE)を伴った乳頭腫と考えられた.〔症例2〕は65歳,女性.検診胃X線検査で胃入口部のポリープが指摘された.内視鏡検査では,食道胃接合部に約8mmの粗大顆粒状の亜有茎性ポリープを認めた.ヨード染色では濃染を示していた.内視鏡的ポリペクトミーによる組織診断は比較的定型的な乳頭腫の組織像であった.胃接合部における乳頭腫は生理的慢性刺激を受けやすく,PEの合併を考慮した診断が必要である.また,生検標本では組織量が十分でなく,異型細胞の組織分布や浸潤性の判定には内視鏡的ポリペクトミーが診断に有用と思われた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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