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文献詳細

雑誌文献

胃と腸32巻9号

1997年08月発行

文献概要

早期胃癌研究会症例

術前診断しえた早期回腸癌の1例

著者: 土田研司1 横山善文1 宮田充樹1 片岡洋望1 今枝憲郎1 佐々木誠人1 猪飼昌弘1 黒川隆1 岩田章裕1 岡山直司1 城卓志1 伊藤誠1 小林建司2 中村隆昭3 渡辺元嗣4

所属機関: 1名古屋市立大学医学部第1内科 2名古屋市立大学医学部第1外科 3名古屋市立大学医学部病理 4渡辺病院

ページ範囲:P.1237 - P.1243

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要旨 患者は72歳,男性.主訴は食欲不振.近医で施行されたルーチンの注腸検査で,回盲弁から5cmの回腸に腫瘍が指摘された.注腸X線検査で側面撰状変形,内視鏡検査で軽度の緊満感が認められ,直視下生検の所見と合わせ回腸sm癌と診断した.手術切除標本では25×15×高さ11mmの亜有茎性病変で,H・E染色所見から高分化腺癌,深達度SMIと診断された.脈管侵襲,リンパ節転移は認められなかった.免疫組織染色ではras・p21は陰性で,p53は一部の腺管で軽度の染色がみられたにすぎず,腫瘍全体が異型度の低い高分化腺癌であると考えられた.本例は術前組織診断および深達度診断しえた早期回腸癌(SMI)であり,今後このような症例に対する内視鏡的粘膜切除術の適応を考えるうえで極めて貴重な1例と考えられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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