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文献詳細

雑誌文献

胃と腸32巻9号

1997年08月発行

文献概要

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編集後記 フリーアクセス

著者: 細井董三

所属機関:

ページ範囲:P.1274 - P.1274

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 噴門部領域はその解剖学的特性から慢性的に物理的,化学的,生理的刺激を受けやすく,ほかの部位にはみられない様々な疾患や病態が起こりうる.本号ではこの部位に発生する癌以外のあらゆる病変を扱った.腫瘍性病変では平滑筋腫または平滑筋肉腫などのGIST(gastrointestinal stromaltumor)が好発することは各著者の指摘のとおりである.食道炎に伴ってしばしばEGJ上にみられる乳頭腫は内視鏡診断ではもちろんのこと,生検診断でも悪性病変(pseudomalignant erosion)との鑑別が問題になるので注意を要する.機械的,物理的刺激による病変としては嘔吐反射に伴う急激な食道内圧の上昇によって下部食道から噴門部に裂創を生じる特発性食道破裂やMallory-Weiss症候群が知られているが,同様の機序で粘膜下血腫が食道側にも胃側にも生ずる.これらの予後とQOLは治療法の選択と治療開始時期によるので迅速かつ的確な診断が要求される.食道炎とアカラシアに代表される噴門部の良性狭窄に対する治療法には,最近の薬物療法の改善と低侵襲性の腹腔鏡下治療法の導入などにより大きな進歩がみられる.ところで最近,わが国においてもHIVの蔓延が危惧されているが,HIV患者にみられたCVC感染による特徴的な食道潰瘍が提示されており,興味深い.そのほか,静脈瘤,囊腫,術後のpseudotumor,周囲臓器からの浸潤,圧排像とその原因疾患などが紹介されている.本号には噴門部に起こりうる癌以外の興味ある数々の症例がきれいな画像とともに掲載されている.これらの症例を一見しておけば胃噴門部の病変に遭遇した際に,必ずや診断の一助となるであろう.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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